小樽観光
倉田 稔
はじめに
小樽の観光の状況と問題、その他について、『らぶおたる』に出し、それを順次並べてみる。ほとんど出たときのままである。数字は横書きになったので、洋数字に替える。
もくじ
小樽観光・考現学 1から6
中国人観光客 1から5
小樽の中国人観光客
小樽を買う中国人
小樽観光・考現学 1
小樽の観光について考えて見たい。
2003年、日本政府は観光立国宣言をした。
日本への外国の観光客は、2014年に1340万3500人で、そのうち台湾から282万9800人、韓国から275万5300人、中国本土から249万9200人、香港から92万5900人であり、これらはトップ4である。(数字は『日本政府観光局』による)
さて小樽への観光客はどうであろうか。
このうち外国人宿泊者数が 7万2800人で、1位 香港、2位 台湾、3位 中国本土、4位 韓国、5位 シンガポール、6位 タイ、となっている。(小樽観光課)
まず小樽への外国人は、日本全体の0・5%程度である。
2013年に小樽の観光客が710万7700人になった。主に日本人である。
道外が199万3400人、道内が511万4300人である。また外国人は全体の一割である。
日帰り客が646万1800人で、宿泊者数が64万5900人である。
要するに、道内からの客が多い、そして日帰り客が多い、ということになる。
小樽の「かもめ研究所」によると、小樽には観光産業を認めない風土がある、という。また、サービスの質が高いとはいえない、ともされる。(かもめ研究所)
ある町にとって、そこが住みよい町であることが大切で、観光が盛んだとしても、それとは関係がないということもありうるので、初めの意見は無視出来ない。
さてしかし、ここではそれと切り離して話を進めたい。
市役所では、小樽が観光都市であると宣言しているが、小樽は、ほとんど全く観光都市ではない。半分の観光都市であろう。今(2015年)から 10年ほど前、そして今もそうかもしれないが、小樽に観光に来る人は、小樽運河を見てみよう、お寿司を食べよう、「北一ガラス」でなにか1つガラス製品を買おう、堺町通りを散歩しよう、くらいであった。これでは半日で終わってしまう。これでは観光都市とは言えないだろう。
小樽観光・考現学 2
最近増えだした中国人の観光客について、延べよう。
中国で団体海外旅行が1997年に認められた。2010年に中国人は、海外旅行者数としては、多い順に、香港、アモイ、日本、台湾から来る。日本での消費総額は、海外旅行脚のうち、最大である。日本の海外観光客の消費全体の4分の1を中国人が占める。(注)
北海道を訪れる中国人観光客にとって、北海道は中国映画「狙った恋の落とし方」(2008年)でブームとなった。だから中国人はそのロケ地を見たいのである。
2000年に、中国大陸からの北海道への観光客は、2300人で、台湾から11万人、香港から3万人であった。だが2010年に中国本土からの観光客は13万5500人になった。台湾からは18万人、香港からは9万人であった。だから、台湾、香港も増えているが、中国大陸からの増え方は急激である。
これは中国に経済発展、中国での旅行許可が進んだこと、日本の旅行政策がゆるんだことにある。
なお、中国本土からは団体では来られるが、個人では普通は来られないという。
もっとも、2013年の福島原発事故と、尖閣列島問題で一時落ち込んだが。
福島原発事故は、全世界からの日本への観光客を減らした。尖閣列島問題は、多分中国人の観光客だけを減らしただろう。
日本人には、小樽は、歴史とか、レトロの町がイメージであり、それで引きつけた。しかし中国人は違う。小樽の歴史に中国人は関心を持っていない。それは当然である。ただし、日本人も小樽の歴史に関心をもつかどうかは分からない。小樽にゆかりのある人がもつだけではないであろうか。
中国人は、自然に関心を持つ。例えば、札幌・小樽間のJRで小樽の海を見た時に歓声をあげる。こんな広い美しい海を見たことがない、と言う。
(注)周 菲菲「小樽を消費する」(『北大人文研究』6,2013年3月)
小樽観光・考現学 3
中国人観光客問題の続きを述べよう。
小樽での旅行の受け入れ側は、中国人をあまり案内していないが、祝津の歌碑のある高台から見る海と岩は、絶景である。これは日本人もびっくりする。なお、祝津に行く船も、綺麗な海が見られて評判がいい。小樽の海のイメージはまだ中国人観光客に伝わっていないらしい。行った人から聞くくらいだろう。
また札幌からくる日本人は、毛無山山頂展望台から見る大きな景色は感動的らしい。
これらは観光としてはあまりルートに入れていないらしい。だから知られていない。天狗山からの景色も面白い。ただしこれはルートに入っているだろう。
中国人にとって食べ物は関心がある。特にカニと寿司である。寿司はしかしまだ慣れない人もいる。それに高いらしい。
中国人が感心を持つ物は、ガラスやオルゴールである。オルゴールの繊細さ・精緻さは評判だ。北一ガラスでは中国人でごった返している。それに小樽で銀聯カードが使えるのは、お客にとって便利である。
小樽のイメージは、映画「ラブ・レター」のロケ地だったということである。台湾人、中国人、韓国人はこれを見ている。ヒロイン藤井樹に関連したロケ地は是非見てみたいようだ。こういうのは、ルートマップにいれたり、看板を立てる必要はある。
中国人にとって小樽運河はつまらない。蘇州の運河は大きいし、京抗大運河がある。小樽運河が売り物になるのは、日本人だけである。ヨーロッパ人にとっても多分つまらないだろう。ヴェネチアの運河やアムステルダムの運河をみたら、小樽運河はとても運河といえないだろう。
中国人にとって評判がよいのは、海に出る観光船、和風ホテル、タタミ、映画ロケ地めぐり、である。ヨーロッパ人は仏壇店などを見るとびっくりする。
中国との差異性が注目されるのである。これはどの国の人にとってもそうであり、自分の国と大いに違うところがあれば、来た甲斐があったと思うであろう。
多くの外国人旅行客はインターネットで小樽の情報を得る。(注)
(注)周 菲菲「小樽を消費する」(『北大人文研究』6,2013年3月)
小樽観光・考現学 4
日本人向けの観光資源については小樽は種々ある。
人物で言えば、榎本武揚は重要である。小樽にとってだけではなく、日本史にとっても大人物なので、彼をもっと知らせるべきだ。榎本に関する場所に、「小樽を作った人」という案内を置くべきだ。
明治時代の最高の政治思想家・中江兆民もいたわけだから、もっと案内を置くべきだ。石川啄木は、函館、釧路、小樽に、長くいたわけで、釧路の啄木の持ち上げ方からみると、小樽ではその100分の1にも満たないだろう。石川啄木のフアンは全国に多い。啄木にちなむ場所(今では五カ所)のうち、彼の住居の2つのうち1つしか、説明板がない。啄木の跡をめぐるだけでも半日はかかる。全国的規模の詩人では、小熊秀雄がいるが、跡の記念は全くない。小林多喜二については2カ所しかない。多喜二フアンは多い。1泊でも見切れないだろう。
(参考)拙書『石川啄木と小樽』成文社、『小林多喜二伝』論創社。
小樽は、すくなくとも数日いても、見るべき物はあると思うが、実際は半日で終わってしまうのは、もったいない。それに半日では、札幌にホテルをとって、ちょっとだけ小樽へくるというのが実際である。小樽は今の所、通過型の観光町である。
小樽で、一日と少し、見る・体験するということになれば、観光客はホテルに泊まるだろう。それだけの観光資源は小樽にあるのに、そうなっていない。
今、小樽で観光客がホテルに泊まったら、大変具合悪いことになる。食事をする店は閉まっている。寿司屋は開いているが、昼に寿司を食べたら、連続して寿司を食べないだろう。それに夜、出かけようとしても、行く先はない。堺町通りは夕6時にしまってしまう。
というわけで、夜、観光者は動きようがない。そういう町は不十分な観光都市でしかない。
通過型でなく、宿泊型の都市になれば、観光収入は大違いになる。実際はアジアの外国人の懐は堅い。昼だけでは、あまりお金を落とさない。宿泊すれば、すくなくとも、ホテル代は支出するわけで、それに夕食をする人も増えるから、昼間だけの観光とは大ちがいとなる。恐らく、観光収入は倍加するだろう。小樽はそれをやっていない。
小樽観光・考現学 5
2009年に小樽の総観光客は687万人だった。そのうち、外国人でかつ宿泊客は約5万人であった。
通過型観光とされるが、小樽では通過型にしているのである。
小樽の観光課は、現在の日帰り通過型から、宿泊滞在型に替えたいと望んでいる。
この間、中国人宿泊者は急増している。
例えば、堺町の店は、朝9時から開いて夕方6時に閉めてしまう。これを少し変えて、半分の店が朝10時から夕7時までにするとすれば、町は1時間伸びる。
電線をまとめて、それが写真に写らないよう配慮してもどうか、と小樽市民の斉藤浩さんは言う。
なお、他国の生活様式を知り、体験するのは、面白い物で、今後はそうなるだろう。例えば温泉(世界にない)体験などは、個人ではなかなかできないが、グループで体験することなどしているのであろうか。餅つき体験、浴衣を着るなども、面白いだろう。
小樽の観光客受け入れ側の人は、観光客が何を望んでいるのかをしっかりつかんでおかないと、努力が空振りをするだけになる。 来る人と迎える人とはちがう。
小樽の展望でも素晴らしいところがある。近くからは、天狗山から、旭展望台(冬期不通)から、鰊御殿から、手宮公園から、毛無山展望台から、祝津の歌碑からの景色。運河巡り、港湾巡り、小樽から祝津までの船である。
買い物したお金が小樽に落ちるとは限らない。例えば、白い恋人は札幌で作っている。
臨港線の海側の店には多くのバラックのような店がある。こんな掘っ立て小屋のようなものが観光地にあるとは驚きである。堺町通りにも何軒か汚らしい店がある。小樽の人は、こういう店が好きなのであろうか、本当にそれを売りにしているのだろうか。観光客は、あるいは中国人は、こういう汚い店が好きなのであろうか。アンケートをとる必要がある。
小樽観光・考現学 6
堺町通りに1件だけ、馬鹿高い値段で観光客に物を売っている店があるが、小樽観光全体としてはマイナスになる。友人知人から噂を聞いて観光する人も多いし、リピーターも多いのだから、観光客をばかにしてはいけない。市も少しは調査する必要がある。
2015年の、日本への外国人観光客は2000万人で、うち中国人は500万人、という統計がでた。
ファイスブック「おたるくらし」があり、これは、見る人にはこの評判が良い。
研究ノート、北川・近藤・佐山「こんな小樽に行ってみたい:『おたるくらし』記事に緘する調査」(『商学討究』小樽商科大学、第65巻第1号)、に取り扱われている。これはアンケート調査である。アンケート対象は、これを見ている人であるが、大体、小樽に係わりを持っている人たちである。だから観光客のうちほんの一部であろう。小樽の観光客は今の所、道内日本人が1番多い。
現在多くの小樽の歴史的建造物に、立派な説明板が掲げられているが、山川隆先生によれば、小樽の歴史的にゆかりのある所に、もっと簡単で良いから,歴史的人物や事件などの説明文を多く立てたらどうか、というのである。これは町が面白くなるだろう。
小樽は寿司が有名である。だが、寿司店だけだと、観光客でも誰でも、昼と夜に連続して寿司は食べないだろうから。具合悪いだろう。.外国人は、韓国人を除いて、概して、海苔が嫌いである。観念的な理由ではある。寿司は日本の醤油なしではおいしくない。外国人に寿司の食べ方をおしえるコースをつくってもよい。
「雪明かりの路」のフェストが、小樽で毎年数日行われるが、この時ばかりは少し営業を延長するべきだろう。今年は少し開店されていた、
毎日、多くの観光客が、夕方5時半とか、6時頃、帰りの観光バスに戻って行く。それからすぐ夕食になるという時間なのに、小樽で店がないせいか、札幌で食べるのだろう。もったいない。朝遅く開店し、夕遅くまで開くという、時間差をつける店が出てもよいだろう。
ある寿司店主は、小樽の商売人はあまり金儲けを考えていないのだろうと言う。
友人のある大学教授に、堺町を見せて、「小樽では夜6時に店が閉まるのだ」というと、「それも哲学ですね」、という。もし哲学だったら良いと思う。
観光客
2017年の北海道の観光客 5610万人、うち 外国人 279万人、うち中国 67万人、 韓国人64万人。
中国人観光客 1
『らぶおたる』で2016年1月から6月まで、「小樽観光・考現学」として6回シリーズで文を寄せ、なお2017年12月・前号にも「小樽の中国人観光客」を書いたが、これはその続きである。
2015年の訪日外国人は1973万人であり、アジアからが1666万人、ヨーロッパからが124万人、北米からが151万人である。
アジアからの客がとても多い。そのうち、中国本土が500万人、韓国が400万人、台湾が366万人、香港が152万人、以下、タイ、シンガポール、マレーシアと続く。(日本政府観光庁)
日本への外国人観光客は、中国本土人が一番多い。前出のシンガポール、マレーシアといっても、来る人は人種的には中国人が多い。アジアでは華僑が進出し、経済的に成功しているからである。そういうわけで中国人としてくくると、圧倒的に中国人が多い。
台湾や香港の人は、それほど反日的ではないが、本土の中国や韓国は、反日の国である。台湾人は中国本土の人を警戒している。香港人は本土の中国人を軽蔑している。また中国本土の都会人は農民を軽蔑している。
中国本土人は2016年に海外旅行が 1・35億人で、29兆円使った。
中国の本土人は海外旅行に行きたい先が日本、というのが、1番多い。
日本に来る本土の中国人は、旅行に来るくらいだから、経済的には比較的豊かであり、マナーでもよい方の人が来る。中国本土では、日本人と同じくらいの人数が日本人と同じくらいの収入がある。中国本土13億人のうち、上位1億人である。彼らは多くは都会人である。中国は農民国であり、しかし農民はほとんど観光には来ない。
中国本土の人たちは、日本での「爆買い」で有名である。爆買いは、東京(銀座、秋葉原)、大阪、北九州ですさまじく、札幌や小樽では、それほどでもない。と言っても、かなり買う。爆買いの理由は、一つは日本製品がよいからである。一番は電気炊飯器で、ついで化粧品、薬品である。最近はトイレ用品など,多種多様である。二つ目の理由は、これらの日本製品を、自分だけのために買うのではく、家族、親戚、友人、はては知人の頼みで買うから、多量になる。三つ目は贈答品のためであり、はっきり言えば、賄賂用に買う。中国は賄賂の国である。ちなみに、これらのものを貰った人は、そのための流通市場があるから,現金になる。そういうわけで、大量に買うことになる。四つめは,日本で買うと比較的安いからである。少なくとも、中国で買うより安い。この点が大きい。
爆買いは、2016年ころに頭打ちになった。1つの理由は、中国政府が外貨の流出を防ぐために、爆買いを押さえようとして、観光客の持ち込んだ品に関税を高くして掛けたからである。2つ目には、中国国内で、インターネットによる日本製品の販売ネットワークが整備されたからである。それまで偽物日本製品のインターネット販売が横行していた。
2016年ころ、日本で観光客が買う以上に、ほとんどその2倍の額が中国内でインターネットで買われている。
中国人観光客 2
爆買いの勢いが減ったのだが、増加率が減ったのであり、前出のようにインターネット販売が増えたので、日本製品はそんなには売れなくなっている。
これと同時に、中国人旅行客に変化が出てきた。旅行の目的がモノからコトへ変わったのである。物を買うことから、事を楽しむことに変わり始めた。これは他の国民でも同じである。また観光とは長期的に見るとそういうものである。
観光も考え物である。水物だから、一面的には考えられない。2011年の東北大地震と、特に東京電力原発メルト・ダウンで、ヨーロッパからの日本への観光客が激減した。2013年の中国の反日暴動で、日本から中国へ行く観光客が激減した。2016年の九州地震で九州への外国人観光客が激減した。韓国で2015年ころ、観光客への扱いがひどいので、中国人は韓国旅行をしなくなった。韓国は数年前、美容整形を国策にし、中国人を呼んだが、失敗例が沢山出て、もう中国人は韓国に美容整形では行かなくなった。というように、政治的、自然的原因で、客が増減するから、安心できる産業ではない。
中国人たちは、世界でも日本でも、「マナーが悪い、行儀が悪い」と、顰蹙(ひんしゅく)を買っている。
普通は、本土中国人の困る点は、大声で話す、道路の向こう側の仲間と、道路を隔てて話す。ゴミをすてる、池に小銭を投げ入れる,家の敷地に入ってくる、などである。池や川に小銭を投げ入れるのは、幸せになるという迷信が流行っているからやっているので、悪気があってのことではない。日本の列車が来ても並ばない。交通信号は守らない。といっても,関西地方で日本人が並ばない例があるし、交通信号は中国ではロクにないから、仕方が無い。店で品物の袋を開け、味見をして,それを阻止した店員を殴ることもあった。味見をしないと買わない、というのが中国式だというが、まさか、それで人を殴ることはどういうものか。中国人は、外国では、海や湖に者を投げ捨てる。イタリアでブランド店で有名バッグを、1つでなく,棚全部買う。入場券を並ばずに買おうとする。
2015年の12月に、大雪が降って、千歳空港で飛行機が飛ばなくなった。その際、幾人かの人々が、日本の飛行機会社の女性係員を殴ったり、机、椅子をひっくり返したり,大暴れをした。しかし、これは会社の対応が悪かったのであり、中国人観光客が悪かったのではない。
中国本土人が、風呂や温泉に集団で入ってきたら、恐らく困るだろう。これは増えるはずである。だから、利用の仕方を教えてから、個人で入って貰う必要がある。
外国で中国人が住民の場合は、アパートで勝手にゴミを出す。ゴミを出す日を守らない。借りた部屋は汚くして使う。唾や痰を道路や家で吐く、などのことで、住民と対立する。
中国人観光客 3
マナーの問題の続きである。
本来、中国本土では、第三世界なのであって、農村ではトイレはほとんどない。中国で最も近代的な上海でも公衆トイレはあまりない。
中国通の近しい友人S氏によれば、北京の天安門広場で、トイレがないので、中国人は敷石をはずし、そこで用を足し、その後、敷石を元に戻しておく、と言う。
私の友人Wさんから聞いた話である。上海の地下鉄車内で、地方から来たとおぼしい父親が子供に用を足させようとしたところ、他の乗客たちから一斉に怒号があがった。父親は「誰もがどこでも普通にやっていることだ」と言うと、「そんな訳あるか」と一斉に怒られ、すごすご親子は次の駅で降りた。同じくWさんは見たのだが、1990年代後半、北京で、街中でも子供がすぐ用を足せるように、親が、子供に尻に大きな穴を開けたズボンをはかせていた。
友人のHさんの娘さんは,2016年から上海生活を始めた。地下鉄の車内で、母親が子供に小便をさせていたのを見た。
田舎の人は、そうするのかもしれない。飛行機で母親が空いている座席で子供に糞をさせたという例がある。農村出身の毛沢東は、共産党の司令部地域・中南海で会議の間に、トイレに行かず、外に出て、野原で用を足していた。歯も磨かなかった。概して中国農村には歯ブラシはなかった。
インタネットを見ていたら、鉄道・上海駅の正面で、中年婦人が人通りのある所で、糞をしていた。同じく、ある地方では、健康な12才以下の少年の尿で卵を茹でて大量販売している。ある地方では,犬肉を大量販売している。
概して、中国本土では環境を守る意識はない。生きてゆくために、それどころではないのだ。何でもゴミは近隣に捨てる。川や湖に捨てる。
養豚豪奢は、2016年まで、豚の糞尿を適当に捨てていた。糞尿施設を持たないと営業させないという法律ができて、多くの業者は養豚を辞めた。
大躍進政策の失敗の際は,数千万人が飢餓で死亡し、死んで直ぐの人の肉を食べた。生き抜くだけで大変だったのである。
交通信号を守らないといって、非難するには当たらない、中国では大都会にも交通信号は少ない。店から出る時、戸を閉めない、と文句をいう必要は無い、店に戸は無いから仕方が無い。
中国人は行儀が悪いとか,マナーが悪いとか、よく言われるが、そういうレベルの問題ではないのである。必死の生活の産物である。
中国人観光客 4
民度というものがあり、香港、台湾、シンガポール、などの中国人は民度が高い、残念ながら、本土中国人は、それにくらべると、低い。だが日本へ旅行して、日本人が親切で礼儀正しく、日本が清潔だと知って、日本には鬼が住んでいると教育されていた偏見をなくしたとか、よい経験をするので、日本観光は国際交流にとってはよいことである。
日本中で違法ガイドが増えている。この会社は、主に留学生を採用している。通訳案内生としてである。これらはランド・オペレーターという会社で、日本全国に少なくとも864社ある(2016年)。これが日本での旅行の手配をする。そしてホテルなどの予約もする。違法ガイドはこれらの会社が組織する。そして税金を払わない。日本政府は旅行法を改正しようと考え始めた。
これらの会社は、中国人観光客を免税店へ誘導し、日本人もよく知らないような高額の健康食品などを買わせる。特に福岡で、これらの会社の格安クルーズが来る。免税店からバックマージンが入る。大体売り上げの2割くらい入る。
(注)『朝日新聞』2017・1・12
2010年に日本政府はビザ条件を緩和した。中国人は単独旅行ができるようになった。
それまで団体旅行だけであった。2015年には,今まで年収25万元でなく年収6万元(約80万円)の人でもビザを出すこととし、数次ビザの条件も緩めた。格安航空機が登場し、中国と日本の地方都市間の航路が増えた。これらによって一層多くの中国人が今後日本を訪れるだろう。
中国人観光旅行よりも問題なのは、中国人が日本に土地・家屋を買い出したことである。商売をし、あるいは別荘にするためである。商売では民宿経営が進んでいる。ニセコに土地を買う。ここは水がいいからである。多分、環境破壊が進むだろう。日本の条例を変える必要がある。中国人は会社をたてて日本の水を買う。小樽の空き家も買われている。大金持ち・権力者は、賄賂摘発をおそれて、外国に逃げている。これを裸官といっている。逃げ先はカナダが一番多い。そのうち、日本にも逃げ込んでくるかもしれない。
20156年の訪日中国人は637万人である。
一部裕福な階級の人は、他のお上りさんと同一視してもらいたくないと思っている。
健康診断をするチャンスがないので、日本で健康診断をする人がでてきた。
文化の違いで、中国人は困ることをする場合がある。池にコインを投げ込むのである。これは幸せがやってくるおまじないである。迷信大国なので仕方がない。中国旅行業者は、そんなことをしないようにと、教えているらしい。
中国人観光客 5
中国本土人の観光マナーは毎年よくなっている。日本に来て礼儀やサービスを知ったのである。航空機のキャビン・アテンダントが、日本へ来る時の観光客は1週間後に中国へ帰るが、彼らのマナーが良くなっていると言う。
富裕層(950万円以上)、高中間層(380−950万円)が、欧米や日本にくる。それ以下の低中間層は韓国やタイに旅行にゆく。ロシアへは、中国からの距離が近いので裕福でない人も行くそうだ。実際、モスクワやサンクト・ペテルブルグへの旅行者は多い。農村戸籍の人は観光に行かない。個人旅行ビザは所得が高くないととれないから、日本にくるのは全観光客のほんの一部である。
富裕層は、ヨーロッパにゆくことが多かったが、日本に目が向いてきた。リラックスすることが目的であり、中国ではホテルのサービスが悪いので、満足しないのだ。ハイクラスの人々は、日本の接客などが中国にないので感動する。日本のサービスでストレスを解消する。彼らは日本で充実した旅をしたいのだ。生き馬の目を抜く,肩で風切る、他人を蹴落とす中国の生活から解放されたいのだ。また彼らは 中国人が少ないところへ行きたい。観光に来て、中国人ばかりなので、もうイヤになるからである。
一般的には、中国観光客は地元の人とふれあいたいと思うようになる。日本に将来の中国を見ようとする。観光の目的が、学び、いやし、安らぎへと変わってゆく。
彼らを非難がましく言う日本人がいるかもしれない。しかし彼らは丁度,ヨーロッパに行った30年前の日本人と同じなのである。長い目で見て上げる必要がある。
上海の例を挙げると、これまで統計数字では、上海の人口が全員1度日本に来たという勘定らしい。そこで上海ではマナーが毎年変わっていっていると言う(注)。
また中国本土人や韓国人が反日であるが、実際の日本を見て、少し考えを変え始める。そういう意味で、彼らの観光は悪くはないのである。
一方、世界では数カ所だが、もう観光客に来て貰いたくない、あまりに多すぎる、居住環境にとって大変困る、という声も出てきた。今後観光客は右肩上がりに増えるから、そういう問題も上がってくるだろう。
(注)中島恵『爆買後』プレジデント。
中国人観光客 6
在日中国人ガイドがいる。代購(= 代理購)がおり、在日や留学生がやっている。これはアルバイトになる。在日中国人は 2014年で65万人いる。彼らの一部はボランティアで観光案内をしている。
マナーの点では、システムが整っていないためにマナーの違いになる。文化の違いで、中国人は困ることをする場合がある。迷信大国なので仕方がない。中国旅行業者は、そんなことをしないようにと、教えているらしい。
団体ツアー・ガイドは、日本の店にキックバックを要求する。旅行客はそれを知っている。だから、いつか個人旅行をしようと思う。
旅行者は日本に将来の中国を見ようとする。今後は多言語電話サービスが必要となるだろう。団体旅行から個人旅行にかわって行く。ゴールデン・ルート以外に移る。地元の人とふれあいたい、となる。学び、いやし、安らぎへ向かう。
富裕層で教育のある人は、日本人の一部が中国人を嫌っていることを知っている。
中国の富裕層は、ヨーロッパにゆくことが多かったが、日本に目が向いてきた。リラックスが目的で、中国人が少ない所へ行きたいのだ。中国でホテル・サービスが悪いので、それでは満足しない。日本で経験したい。それはハイ・クラスが多い。よい接客などは中国にはないので日本に来て感動する。日本のサービスでストレスを解消する。日本で高級で充実した旅をしたい。生き馬の目を抜く,肩で風切る、他人を蹴落としての生活から、少し開放されたいのだ。医療ツーリズムが流行る。中国では健康診断をするチャンスがないので、日本で健康診断をする人がでてきた。一部裕福な階級の人は、他のお上りさんと同一視してもらいたくないと思っている。
2016年の訪日中国人は637万人である。
香港・台湾人は旅行の歴史が長いので、旅をより楽しんでいる。体験を求める。
中国人は冷たい物をあまり好まない。
2014年から上海人が多く日本旅行をし、日本人はマナーが良いと知り、日本人悪人説が消えていった。
北海道は一部中国人観光客には人気がある。台湾・香港に雪がないし、中国本土もそれほど雪が降らないからである。お菓子として、白い恋人、じゃがポックルが好まれる。ラブコメディー「狙った恋の落とし方」が作られ、これで釧路、網走に行きたいという人が増えた。宿泊稼働率は 北海道は 62%である(2016年)。
中国でマナーが劇的によくなっている。旅行から学んでいる。1980年代のヨーロッパでの日本人と似ている。30年前の日本と同じ。マナーは毎年よくなっている。日本に来てサービスを知った。
小樽の中国人観光客
かつて本誌で、「小樽観光考現学」として数回書いたが、これはその補いであり、続きである。
中国人の小樽観光の問題は、色々ある。中国人の煙草の吸い殻のポイ捨ても多い。店にある水を自分の容器に詰め込んでゆく人が多い。境町のG店では、中国人観光客が、コンビニで買った物や他の店で飼った食べ物を、食堂に持ち込んで食べる。「辞めて下さい」と言うが、辞めてもらえず、諦めている。だがこの行為は、人情としては分からないでもない。買った店で直ぐ食べたいとか、食べられる椅子や机や飲み物がそこになければ、どうしても食べたいと思うだろう。実際、道路で立って食べている人も居る。これは少なくてもベンチで座って食べた方が良いと思うが。Kカフェでは、「辞めて下さい」というと,辞める。私はその店の大きさとか雰囲気とかに原因もあると思う。
境町のT寿司屋では、中国人観光客が箸置きやおしぼりや,その他を持って行ってしまう。これは商売にとってつらい。
トイレからトイレット・ペーパーを持って行く、という例がある。中国の観光業者に教育を徹底するように頼む必要がある。中国本土では、トイレット・ペーパーの箱には鍵を掛けて,持って行けないようにしている。
また,本土中国人は、用を足した後の紙を、水に流さないで,ゴミ箱に入れる。これを日本でもやる観光客が多い。これはあとで始末するのが大変なので、日本の店では困っている。中国では紙を流すと詰まってしまうので、そうしているのだから、これも知らせる必要がある。堺町で、店によっては、正しい使用法で使っているところもあるから、教わってきたのであろう。客層にもよるわけである。
『北海道新聞』に出ていた。朝里で、映画かドラマのロケがあったので、中国観光客がやってくる。これは感動的らしい。それはいいのだが、鉄道線路に降りて、写真を撮る。これはあぶない。朝里は無人駅なので、多分注意ができず、しかし駅員がビラを配っているとのことである。
中国人は三世代くらい大家族で来る場合が多い。韓国では二世代だ。だから人数が多い。
かつての中国人観光客は教養がありそうで豊かだった人がきた。最近は中間層も来る。少し品位は下がるそうだ。
Kカフェで、注文が人数より少ない。中国人が、藍山つまりブルーマウンテンを注文する。旅行だからだろう。年齢の上の世代は紅茶、若い人はコーヒーを飲む。ここでは紅茶をポットで出すのだが、文化の違いか、中国人はお湯だけのお代わりを求める。やめてもらっている。中国人は、水でなくお湯が好きだ。中国では水は飲めないから,習慣かもしれない。
韓国人観光客はブランド品を持っている人が多い。中国人添乗員はブランド品を沢山もっている。中国人添乗員は収入が多いからだ。
お手洗いだけを利用する人がいる。これは境町に公衆トイレガないから仕方ないかもしれない。服装がだんだん良くなっている。Kカフェで、アジアの中で台湾人が1番いい、という。しかし私は香港人,シンガポール人もよいのでないか、と思うが。
小樽を買う中国人
中国人が北海道で土地を買って、何もしない例が多い。
札幌市の中国系不動産会社が、平成25年に、小樽の高台 3100平米を買った。この話は次の記事と同じかも知れない。2013年3月26日、『日経新聞』によると、こうである。中国のテレビ製作会社海潤メディア・グループは、小樽に高級リーゾトマンションを建設する。約30億円かけ、2014年完成を目指す。札幌市内に儲けた日本法人を通じ、小樽張碓町の海岸近くにある3100平米の高台に建設する、と。
小樽の不動産会社「北海道スタイル」は、中国人を中心に北海道の不動産を売っている。2日に1件は契約が成立している、平均1千万円の物件だという。北京、上海の富裕層が中心だ、一軒家を買って民泊に使うケースが増えている。
小樽市の平磯公園の近くの合3831平米を、2016年3月、札幌の中国系企業が購入した。レストランにし、担当者は、今はランチ中心で、夜は予約だけ、と言う(宮本雅史『爆買される日本の領土』角川新書 p.123−132。)。これはたぶん、かつての開発庁の保養施設かも知れない。
富岡1丁目の2LDKマンションで、築1998年ものが、980万円で買われた。東雲町の3LDKで、築1991年のものが1320万円で買われた。
2015年から中国人旅行客の中に不動産を買うために来ている人が多くなった。2018年はじめ、小樽で不動産を手放す人が増えている。民泊を経営したいという中国人が増えている
小樽のある不動産会社は、これまで中国人・台湾人など50人余りの投資家に、100軒近くを販売した。その大半が民泊営業を希望している。小樽に中国人オーナーは数十人居る、と言う。
北京で異常な住宅バブルが起きており、北京から見たら東京の住宅も安い。小樽の中古家は格安だ。北京、上海で、マンションは2億円、3億円だ。北京中心部のマンションの時価総額が中国GDPの4割である。
数年前に小樽で中国人による不動産の購入ブームがあった。1千万円前後の中古マンションが買われた。
北海道で中国資本に買収された森林や農地などは2016年までに推定で7万ヘクタールである。(宮本、p.149)
中国人の北海道観光は、2008年の映画「狙った恋の落とし方」で、北海道が舞台になったのが1つのきっかけであった。
日本で外国人が不動産を持っていると、永住権を得やすい。中国人の多くは北海道への移住を希望している。(宮本、p.136−7)
小樽で民宿を経営している中国人が多いと思われるが、この人たちは税金を払っているのかどうか。日本では外国人が土地を自由に買えるし、登記して所有出来る。珍しい国である。名前さえ書けばよい。環境破壊をされても。手が打てない。持ち主の所在が不明で、連絡がつかないという例も多い。どうにかしないと、日本の土地は中国人のものになるかもしれない。
(参考)『選択』2019年1月。